2026年6月10日、サグラダファミリアの完成式典のニュースが世界中を駆けめぐりました。テレビでも特番が組まれて、SNSも「ついに完成」のお祝いムード一色。でも、ちょっと待ってほしいんです。あの教会、実はまだ完成してません。
「え、式典やってたじゃん」と思った人ほど、この記事を読む価値があると思います。何が完成して、何が残っているのか。そして残っている工事の本丸が、実は石でも彫刻でもなく「人の生活」だという話まで。

「完成した」というニュースの方が気持ちいいから、そっちが拡散される。でも構造を見ると、全然違う絵が見えてくるんですよ。
サグラダファミリアは完成してない。6月10日に完成したのは「塔」の話


まず事実関係を整理します。2026年6月10日に行われたのは、聖堂の中心にそびえる最大の塔「イエス・キリストの塔」の完成を祝う式典です。高さは172.5メートル。これでドイツのウルム大聖堂を抜いて、世界でいちばん高い教会になりました。
この日はガウディの没後ちょうど100年。1882年の着工から144年。節目として、これ以上ない日付です。式典が盛大になるのも分かる。
ただし、完成したのはあくまで塔。正面玄関にあたる「栄光のファサード」と付属する塔、そして正面へ続く大階段はこれから。全体の完成は2035年頃になる見込みと報じられています。つまり、あと10年近く工事は続きます。



えっ、じゃあなんであんなに「完成」って騒がれてたの?



「最大の塔の完成」と「聖堂全体の完成」が、ニュースの見出しでは区別されにくいんです。短い見出しに収めると「完成」だけが残る。悪意というより、情報が圧縮される時の構造の問題ですね。
残り工事の本丸は石じゃない。栄光のファサード前の「立ち退き問題」


ここからが本題です。残っている工事の中で、技術的にいちばん難しいのは何か。自分は、石を積む作業じゃないと思っています。本丸は「栄光のファサードの前に、いま人が住んでいる」という事実です。
ガウディの構想では、正面玄関である栄光のファサードの前に巨大な階段と参道が伸びるはずでした。ところが、その予定地にはすでに住宅街が建っている。計画を実現するには、数千人規模の住民に立ち退いてもらう必要があると報じられています。
144年かけた偉業、世界一高い教会、没後100年の感動。その物語の続きには「あなたの家を退いてください」という話が控えている。式典のニュースでここに触れたものは、自分が見た範囲ではほとんどありませんでした。



感動の物語として消費しやすい部分だけ切り取られて、生活の話が見出しから消える。この情報の偏り方自体が、いちばん引っかかるところです。
立ち退きはいつから揉めてる?経緯を時系列で整理する


立ち退き問題は、今に始まった話じゃありません。報道を整理すると、おおまかな流れはこうです。
- 1970年代、予定地に集合住宅の建設許可が下りる(当時、階段計画は実行予定なしとされた)
- 2019年頃から階段建設に向けた動きが本格化し、住民の反対運動が報じられるように
- 影響を受ける住民や企業が工事認可をめぐって裁判所に異議を申し立てるも、建設側の主張が認められる
- 立ち退き対象は当初3000人規模とされたが、その後の報道では影響範囲がさらに大きいという指摘も
建設側の言い分にも根拠はあります。階段は1916年にガウディ自身が残した設計図に基づくもので、後付けの拡張ではない、という立場です。一方の住民側は、行政が一度は住宅建設を許可した経緯がある以上、納得できないのも当然でしょう。



どっちも言い分があるんだね。単純な悪者がいる話じゃないんだ。



そう。だからこそ構造の話なんです。「100年前の設計図」と「50年前の建築許可」と「今の生活」が同じ土地の上で衝突してる。誰か一人を責めて解決する形をしていない。
立ち退き対象の人数は、計画の範囲がどこまで広がるかで変わるため、報道によって数千人から1万人超まで幅があります。確定した数字として扱わない方が安全です。この記事は2026年6月時点の報道をもとにしています。
そもそも「完成」って誰が決めるのか。未完成がブランドだったという見方


もう一段引いて見ると、別の問いが浮かびます。サグラダファミリアにとって「完成」とは何なのか。
この教会が世界中の人を惹きつけてきた理由のひとつは、間違いなく「未完成であること」でした。クレーンと足場込みの姿が観光資源になり、その観光収入が工事を加速させた。未完成が完成を早めるという、ちょっと珍しい構造で動いてきた建築です。
だとすると、2035年に全部が終わった時、この場所の magnetism は何で支えられるのか。「いつか完成する物語」を失った後のサグラダファミリアは、ある意味で初めて、他の歴史的建築と同じ土俵に立つことになります。
いやでも、144年かけて世界一だぞ!?完成したら絶対もっとすごい人気になるだろ!
その熱は分かるし、自分も完成形は見たい。ただ「完成を待つ楽しみ」が消えるのは事実。完成って、ゴールであると同時に何かを終わらせる行為でもあるんですよね。
まとめ: サグラダファミリアの「完成」はまだ先。見るべきは残り10年の方
2026年6月10日に完成したのは最大の塔「イエス・キリストの塔」。聖堂全体の完成は2035年頃の見込みで、残り工事の最大の壁は栄光のファサード前の立ち退き問題。そして「未完成」こそがこの教会のブランドだったという構造も見逃せない。
「完成した」というニュースは半分正しくて、半分はまだこれからの話です。そして残り10年で問われるのは、石を積む技術より「100年前の夢と今の生活をどう折り合わせるか」の方。式典の華やかさより、自分はそっちの行方を見ていたいと思います。
完成の瞬間より、完成までの揉め方にこそ、その社会の本音が出る。2035年まで、たまに思い出して見ておくといいテーマだと思いますよ。
- サグラダファミリアは結局完成したの?
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完成していません。2026年6月10日に完成したのは最大の塔「イエス・キリストの塔」で、栄光のファサードや大階段などの工事が残っています。
- 全体の完成はいつになる予定?
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2026年6月時点の報道では、2035年頃が見込みとされています。ただし立ち退き問題などの進み方次第で変わる可能性があります。
- なぜ完成までに144年もかかっているの?
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当初は寄付に頼った建設で資金が安定しなかったこと、ガウディの死後に内戦で資料が失われたことなどが重なったためです。近年は観光収入で工事ペースが大きく上がりました。
- 世界一高い教会になったって本当?
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本当です。イエス・キリストの塔の完成により高さ172.5メートルとなり、これまで最高だったドイツのウルム大聖堂を超えました。
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